——網状のものだとか、塊みたいなものは昔から作ってたの?

編み物はずっと好きで、最初は小物だとか、帽子やマフラーのような身につけるものを作っていました。インスタレーションのようなものを初めて作ったのは2005年のGEISAIの時です。

——作品ではウネウネした形や蜘蛛みたいな形が編んであるけど、どういう形が気持ちいいの?

全体的な形が好きというよりは、部分的なここの曲がりが好きといった感じです。

——それはわかる。海の底みたいに、何だかわからないけど色んな形があるような。あれは増えていくのが気持ちいいの?

ちょっとずつしか増えないというのが逆におもしろいです。最初のイメージ通りには絶対ならなくて、編みながら生成してくみたいな感じがいいです。

——編み物の中に人が入ったりするのもイメージする?

でこぼことしている感触だとか、空間や雰囲気を作ろうと思ってます。

——あれは真面目じゃなきゃ完成しないと思うけど、一日何時間も作ってるの?

家でいろいろ休憩しながら、ずっと作っています。テレビがついている方が、何も考えなくていいので楽です。編む作業自体は安心するんですけども、出来上がりを見るとすごく不安になります。ちょっと気持ち悪いというか。

——すごくわかる。作品に名前はついてるのだっけ?

名前はつけていませんがテーマはあって、今作っている作品は植物っぽくならないように気をつけています。森のフェアリーが出てきそうな感じにならないように。気にし過ぎると全部植物に見えてしまって作れなくなるので、今はあまり気にしないですけど。

——フェアリーっていう言葉を使うのは簡単だけど、それは名前がつけられないものと言ってもいいの?

名前がない方がいいですね。
フェアリーというより出てきそうな気配のようなものです。

——今の社会で関心のあることって何?

田舎で、女の子が同級生を刺したという事件が気になります。その女の子や被害者の子の家に行ってみたいなと思います。共感したいっていうか。環境的にも似てたんだろうなあと思います。田舎の奇妙さみたいな。

——共感したいって刺した子?刺された子?

刺した子の方ですね。

——植物的なものを排除したいというのは、田舎の奇妙さが捻れて反映されているところがあるかな?

捻れてますね。東京に来たということで、バランスがまたおかしくなったと思います。

——でも、東京の方が楽?

いや、楽じゃないです。

——じゃあ田舎の奇妙さや植物の方に帰った方が楽?

そうかもしれないんですけど、それは違う。
東京にいても、田舎にいても違う息苦しさがあります。

——今度は、個人的に自分が一番興味があることっていうのは?

時間のこと。時間が一定に流れてないなとか、空間が伸び縮みするとか、そういうのが好きです。小さい頃は学校の帰り道とかに曖昧に考えているようなことだったのですが、年をとってからはだんだん具体的に考えられるようになってきました。