——歯の矯正してるの?それ写真に撮ったでしょ?
ラーメンが挟まってるのを撮ってもらったことはある。
——塩田君が写真だと思うものと、他の人が写真だと思うものというのはズレていると思うのだけど。
俺の中では諦めました。なるようにしかならないというか、なるべくしてなるというか。
——シャッターの切り方には実に卓越したものがあるね。俺なら確実にここで押すという。
一生懸命考えて「ここだっ!」と思って撮っているわけじゃない。一番重要なのはカメラを覗く前の瞬間と、上がって初めて見た時。覗いている間とシャッター切る瞬間は、人間の許容範囲ではない。それはスポーツ的なことで、野球だったら、これくらいのスピードでこの角度でボールが来るから、このくらいのスピードでバットを出せば当たるって考えたところで当たらない。それと同じで、シャッターを押すしかない。だから上がった時、事後的に自分が見てビックリしたものがいい写真。
——ゴミ箱の写真(LIFE HUNTERシリーズNo.06)は何であんなにサイズが大きいの?
シリーズの中で一番ビックリしたから、一番デカイ。
——塩田君の写真は、意味のあるものないものを超えていると思う。「バケツを写しているのか?」って聞かれたら、「いや、バケツ撮ってるわけじゃないです。」と。
正直に言えばバケツを撮ってるんだけど、写真になった時点で、バケツ以上のものになっているっていう感覚がある。「バケツを撮ったんですね?」って聞く人にはバケツ以上には見えなかったというかこちらのエネルギーが弱かったということだと思う。
——決定的瞬間を捉えようとしているわけじゃないけど、もっと違うぐっとくる何かを掴まえたいっていう気持ちを感じる。
決定的瞬間とか何かを掴まえたいという感覚はない。写真を撮っているつもりもない。
——写真のモダニズムを超えたことをやっているわけですね。普通だとスタイルを極めると終わるから、作品数も限られる。でも塩田君はそうならない。塩田君は、マンネリなんだけど不定形で、かっこいい。